Archive for 8月, 2012

新芽会・柄物会のご報告

2012/8/27


いつも当店をご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。

7月に行った新芽会のご報告ページをホームページ上に公開いたしました。今回はより多くの画像を掲載しておりますので、是非ご覧下さい。

 

平成24年度 東洋蘭センター新芽会・柄物会の報告 PART①

平成24年度 東洋蘭センター新芽会・柄物会の報告 PART②

 

過去の展示会ページには、こちらから移動できます。

“展示会のご報告”


1.「用土の準備」編

2012/8/26


東洋蘭センター 植え替え講座 「用土の準備」編

植え替えをする際に、植え替えに必要なものをきちんと準備しておくことが大切です。中でも、用土はこれから1~2年その中で蘭を栽培するわけですから、手を抜くわけににはいけません。

とういうわけで、今回は用土について説明していきます。

用土には基本的に乾燥していて、粉が付いています。これをこのまま使うのはあまり良いと言えません。頭に入れておきたいポイントは、使用する用土は半乾きでサラサしていて、不純物が付いていない物が最適ということです。不純物が付着していると、ねずまりの原因となりますので、ご注意ください。

では、順を追って説明していきたいと思います。

新しい用土は、前にも述べたように乾燥していて粉などの不純物が多く付着しています。乾燥している土は、植えた後に潅水などしても、水を吸収しにくくなりますので、注意が必要です。カゴに土を出して、シャワーで水をかける時はムラなく隅々まで水をかけることを心がけましょう。

いちばん簡単に用土に水を吸収させるには、用土の袋の端を切り、ひたひたの水に浸します。そして、この状態で1~2日吸水させます。

かごをセッティングして、用土を入れます。1~2日水に漬けておいた土は、下の画像の様に完全に水を吸収した状態になります。

不純物を取り除くために、シャワーなどを使い上から水をかけ、粉などを洗い流しましょう、大体の土からは、下から濁った水がでてきます。

途中で、かごを振りまんべんなく洗います。こうすると一度きれいな水が出てきていても、濁った水ができます。

下から出る水が透明になっています。このくらいが水洗い終了の目安です。このまま半日から一日おいておきます。

植え込みに使用する用土は、このくらいの半乾きの状態がベストです。あまり水分が多い場合は、土と土がくっついて植えにくくなりますので、ご注意ください。

これは、乾きすぎです。乾ききったまま植え込みに使用すると、水を吸収しません。

これも乾きすぎです。用土の表面がカラカラで粉をふいています。こんな状態になってしまったら、もう一度土を洗い流した方が良いでしょう。

東洋蘭センター 植え替え講座 「ハサミを準備する」編


2.「ハサミを準備する」編

2012/8/25


東洋蘭センター 植え替え講座 「ハサミを準備する」編

植え替えをするときに、必ず準備する物の一つにハサミがあります。根を裁くとき、葉の処理、株分け時といろんな場面で使われる必需品です。ですので、正しいハサミの手入れの仕方を知っておく必要があります。寒蘭を育てる時や、購入する際、友達に分けてあげる時に、バイラスなどの病気が入っていては、その蘭の価値は皆無となってしまいます。それだけに病気に感染させたくないと思うはずです。それらの病気の感染源は、ハサミの使い回しいに原因があります。だから、

ハサミの使い回しは、絶対にしてはいけません。

愛情を持って寒蘭を育てている人であれば、このような事はしないはずです。誰も自分の大切な蘭に病気を蔓延させたいと思う人はいないはずです。ですので、使い回しは絶対にしてはいけません。

正直に言いまして、今までに面倒になって一度使ったハサミを他の蘭にも使ってしまい、バイラスを感染させたことがあります。自分の蘭舎にそんなバイラス入りの蘭なんてないと思うかもしれませんが、見落としがあるかもしれませんので、きちんと処理してから作業を行って下さい。

 使用するハサミは、園芸用のハサミでも一般的に市販されているハサミどちらでも構いません。使いやすいものを使用して下さい。画像のハサミは当店で使っているハサミですが、刃先に注目して下さい。刃先は、黒くなっています。

 当店では、必ず一度使ったハサミは火を使って滅菌します。殺菌剤だけでの処理では、不十分だと考えているからです。

 ここまで刃先が赤くなるまで、10~20秒程高温にさらします。

 

 刃先が赤くなったら、水につけてハサミをさまします。刃先が熱いままだと、はさきがまがったりします。絶対に熱いまま葉を切ったりしないで下さい。

 

 冷却後、乾燥させます。

 乾燥後、殺菌剤など(当店では、アルコールを使用しています)で再処理します。熱処理できないハサミ全体を殺菌します。

 ここまでしてから、ハサミは使って下さい。お願いします。

東洋蘭センター 植え替え講座 「根の裁き方」編へ


3.「根の裁き方」編

2012/8/24


 東洋蘭センター 植え替え講座 「根の裁き方」編

まずは、鉢から大事な蘭を取り出すという作業を行います。
この時心がけることは、蘭に傷を付けない様に扱う事です。特に新芽は少しの衝撃でもキズが残る可能性がありますのでご注意ください。

鉢から蘭を取り出すときは、鉢の縁をトントンと叩くを簡単に鉢から出てきます。

中には根が張ってなかなか出てこない蘭もいます。それらにはゴムハンマーが有効です。ただ、陶器鉢の場合、ゴムハンマーといえど強い衝撃でたたくと割れてしましますのでご注意ください。

この様に簡単に出てきます。蘭を取り出すときは、必ずバック木を持ちましょう。新芽の方を持つとキズを付ける可能性がありますので、ご注意ください。

 鉢から取り出した蘭は、土がたくさんついています。

 

これからの作業をスムーズに行うために、一度水洗いして古い土を取り除いてあげましょう。この時も、蘭を持つ場所はバック木だけです。新芽を持ってはいけません。

 

 

 綺麗な状態になりました。しかし、このまま植え替えてまいけません。腐った根、枝根、枯れた葉を処理してすっきりさせましょう。

 ダメになった根は、根元からきれいに切り落としましょう。

 

下の画像の様な 枝根は、必要な根ではありません。綺麗に切り落としましょう。残しておいても、植える時に折れてしまい、結局はダメになってしまいます。

たくさんの枝根がある場合も、全て綺麗に切り落としましょう。

 

   この様に黒くなった部分もダメになってしまいますので、今のうちに切り落としても構いません。

 

 

 一通りダメになった根・枝根を処理したら、根裁きは終了です。

  かなりすっきりしたのではないでしょうか。

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4.「葉を切る」編

2012/8/23


東洋蘭センター 植え替え講座 「葉の切る」編

 今回は、葉の切り方についてです。

一般的に、蘭の葉の寿命4~6年です。ですので、4,5本立の蘭のバック木が枯れていくのは、ごく自然なことなのです。特に新芽だ出る時期などは、バック木が枯れ易いです。ですが、その枯れた葉をそのままにしておくのは蘭が美しく見えませんので、綺麗に処理を行います。

展示会に出品する時は、花だけでなく葉全体にも目を向けることをお忘れなく。葉の処理をするのとしないのでは、その鉢の印象を全く違うものになります。それだけ重要なことです。

 基本的に根の処理をする鋏と葉の処理をする鋏は同じもので構いません。ただ、同一の物の処理に限ります。他の蘭を切ったハサミの使い回しは絶対に使用しないと決めておきましょう。バイラスなどの病気の感染の原因となります。自分のところにそんな鉢はないと思うかもしれませんが、万が一という事がありますので、肝に銘じてハサミの使い回しをしないと決めておくと安全です。一度使ったハサミは熱処理などをして殺菌しましょう。

 

葉を切るときは、自然に見えるように斜めハサミを入れ切りましょう。まっすぐ切ると不自然になり、全体的に違和感が出てしまいます。ご注意ください。ハサミを入れたけれど、ハサミを入れたことを感じさせないように気を付けることが大切です。

 上記の作業を繰り返すとすっきりとした蘭になり、愛着も増すことでしょう。綺麗な鉢とそうでないと鉢とでは、意識していないところで差別してしまうものです。1~2年に一度このようにしてあげると蘭も勢いよく育ってくれることでしょう。

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5.「株分け」編

2012/8/22


東洋蘭センター 植え替え講座 「株分け」編

植え替えの際に、大きくなった蘭を株分けするときがありますので、今回は株分けについて説明していきます。

一般的に植え替え・株分けは年中することはできます。注意しなければいけないのは、寒蘭は暑さに強い植物とは言えませんので、一番暑い7月・8月中ごろまにするのは、できるだけ避けた方が良いかもしれません。逆に、一年を通して中でも最良といわれる時期は、2月下旬~4月月と8月下旬から9月までの2つの時期です。この時期に植え替え・株分けを行う事で、蘭が刺激され発芽を促進される傾向があります。どちらかというと、後者の方が良いかもれしません。当店でも植え替えや株分けは、8月下旬から9月にかけて行います。この時期に植え替え・株分けをすると、新芽が付いてから根を下ろすまでに時間がかからす、翌年の春の出芽も良くなるからです。一度試してみてはいかがでしょうか。

株分けをすると言っても2、3本立の木を株分けするのは、良いとは言えません。株分けした後に、1本立になってしまって木が弱ってしまう可能性があるので一部の条件を除いては避けるように注意して下さい。できれば、5本以上たってからの方が、安全といえるでしょう。5本なら割った後も、2本と3本になりますので、木が弱る可能性もグッと低くなります。

こちらの6本立に新芽が3本出ている木を株分けしていきます。

まず、どの位置でこの株を割るのかを決めます。この木は、途中から芽が奴でて、それから両側に新芽が出ていますので、これらの新芽が綺麗に分かれるように株分けする位置を決めます。

株分けをする位置を決めたら、その割る位置の両側のイモ付近をもちます。この時気を付けることは、新芽を傷つけないようにすることです。

 

 株分けする時に注意することは、蘭に負担がかからないようして下さい。

負担をかけずに株分けするために、下の画像の様に株分けする位置から左右に蘭を45度程まわし、この作業を数回繰り返してまずはバルブとバルブの接着面を緩めていきます。このときは、決して新芽を持たない様に、または傷つけない様に細心の注意を払って下さい。

この作業を数回繰り返すうちに、簡単に外れることもあります。

 中には、なかなか外れないものがありますので、無理にねじりきったりしない様に底は我慢して下さい。無理強いするとイモえぐれたりして、アタリを傷めてしまう可能性がありますので、注意して下さい。

上記の作業で少しの緩みができているはずですので、そこにハサミを入れて切るととても簡単に外すことができます。※ハサミの使い回しは、しないでください。病気の感染の原因となります。

 

 

株分けする時に心がけることは、蘭に負担をかけないように特に新芽にキズやダメージを与えないしましょう。せっかく、大事に育てて大きくした蘭ですので、 分ける時も丁寧に扱ってあげましょう。

前に述べたことで、株分けした後に1本立にはしないようにした方が良いと述べましたが、バック木をはずすことは出来ます。古木や葉切れのバック木を取り外して、種木として栽培できます。

 

 基本的に、通常の株分けと同じです。無理せず、優しく蘭を握り、左右に振って接続部分を緩めていきます。

 

 簡単に外れるはずです。なかなか外れないときは、ハサミをいれて対処して下さい。

 株分け作業の完了です。

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6.「植える」編

2012/8/21


東洋蘭センター 植え替え講座 「植える」編

鉢を返して、根・葉の整理をして株分けを終えて、いよいよ植え作業に入ります。

まずは、前日に準備していた半乾きでサラサラになった用土を大きさ別にトレーに入れておきます。このほうが、たくさん植え替える時などは、サクサクできて楽です。

植え替えをするときに必要な用土は、大きいサイズから小さいサイズまで3種類は用意した方が良いです。特に、小さめの土は必ず用意して下さい。必需品です。

今回植え替えするのは、こちらの蘭です。植える時に心がけておくことは、バランスです。鉢と蘭のサイズ的なバランスが崩れると見ていて違和感を感じるはずです。大きければいいというものでも、小さければ良いというわけではありません。ですので、植える前に蘭を試しに鉢の中にいれて、近くから少し離れてから見てバランスを見てみましょう。

鉢をいくつか準備します。

実際に入れてバランスをみると、分かり易いです。

 

この蘭には、この鉢は少し大き目と感じたので除外です。

試しにかなり大きめの鉢に入れてみたのですが、バランスが崩れて蘭より鉢の方が目立ってしまっています。これでは、せっかく育てた蘭の魅力が半減してしまいます。

という事で、一通り見た中でこの鉢に決めました。

まず初めにすることは、蘭をどのように植えるかシュミレーションすることです。土を入れる前に、蘭を入れてどこからが一番よく見えるかを、鉢の横から同じ高さまで身をかがめて少し離れてみるとよくわかります。

基本的な植える位置は、鉢の中心部よりやや後方に植える蘭の新木が来るように位置取ります。

ちなみに、鉢には正面があります。鉢の正面と蘭の正面を合わせるとよりキリっと見えて最高です。鉢の正面は、この鉢タイプの鉢だと猫足の一つを正面に持ってくると良いです。

この様な感じに植えるイメージが決まったら、土を入れていきましょう。

まずは、大きめのサイズの土を入れます。量的には、鉢底から小さい鉢で3cm大きい鉢で5cmといったところでしょうか。大きいサイズの土を底に入れると乾燥しにくいです。

底に土を入れたら、蘭を入れて土入れの作業に入りますが、ここでのポイントは、蘭は初めは深めに入れておくことが重要です。というのも、後で修正する際に、土を入れてしまった鉢に押し込むことはできません。出来たとしても根が傷むのでやめて下さい。引きぬくことは容易にできます。

実際に土を入れていくと、根に阻まれてほとんどが入っていきません。

そいうときは、鉢の足を台にトントンとあてるとどんどん鉢底に土が入っていくます。と同時に、隙間なく土が根を包んでいくのこの作業は必ず行って下さい。隙間があるとその空間が原因で根が傷むことがあります。隙間を空けないことは大変重要なことです。

同じところをたたいても、意味がありません。3つの足があったら、3つともまんべんなくトントンして下さい。

鉢の横をこぶしでたたくという方法も有りますが、不十分な場合があります。やはりトントンと台に当てて下さい。あまり強く大にあてると足がもげてしまいます。私も何度も足を折ってしまいました。気を付けて下さい。

この作業で、ちゃんと土は入ってくれました。

小さいサイズの土を入れて、上記の作業を繰り返します。隙間なく土を詰めることを意識しましょう。

根元は、根が密集しています。かなり小さいサイズの土がないとその密集地に土を入れることができません。小さいサイズの土は重要です。小さいサイズの土を入れても、またトントンと叩きましょう。

ここまできたら、深めに入れた蘭を引き出しちょうど良い高さに合わせてあげましょう。

ていきとうな高さというのは、バルブが鉢の真横から見て1/3程度見えるくらい引き上げて下さい。これより低いくくてもたかくても、次に出てくる新芽の高さがおかしくなります。バルブの高さがまちまちなのは、こういう事が原因で起こります。

固形の肥料などを入れる時は、このくらい位置にいれましょう。根に直接触れない様に置くことをお勧めします。種類によっては、固形の置肥が土から露出していると虫かが集まったりしますので、少し中ほどに入れてあげるのがポイントです。

バルブの下は、かなり小さめの小粒を使って根と根の間に隙間ができないように、きっちり土を詰めましょう。

化粧土や表土などは、鉢の上部まで親イモが半分隠れるくらい被せてあげましょう。それ以上植えまで土を入れると潅水の際に飛び散る可能性があります。

ここで“植える”という作業は終わりです。

植えたら、必ず水を上げて下さい。たとえ一度きれいに洗った土とはいえ、粉は出ます。きれいに洗い流して上げて下さい。

まだまだ上げます。ここでのポイントは、同じ位置から出水をかけるのではなく、鉢を回しながら上げるとまんべんなく水がかかり、鉢の中を洗い流すことです。

鉢の底から、透明な水しか出なくなるまで、30秒くらい上げると良いでしょう。

水やりをしっかりして、植え替えの終了です。全体を見て、やり過ごしたところはないか確認してあげて下さい。

この鉢を見直すと、葉の枯れた部分の残りがありますので、綺麗に切ってあげましょう。

 


 

 こ こまでして、植え替えの完了です。すっきりして蘭が生き生きして気持ちが良いです。1~2年おきには必ずこの作業をしてあげてください。せめて、3年目を 迎えるまでには、植え替えをして下さい。それ以上の“放置”は成長の妨げになります。苔が生えたり、枯れた葉をそのままにしておくことは、決して良いこと ではありません。愛情を持って蘭を育てましょう。