7月の寒蘭管理
この時期に一番大事なことは、
水をたくさん寒蘭たちにあげることです。
夏の山中は、葉が生い茂り、昼間でも暗く、湿度も高くなります。蘭を育てる際に基本とするところは、山の中の環境を再現することです。しかしながら、自然の環境を再現することは難しいですので、出来る限りのこと、採光・灌水・風・湿度などをこまめに調整していきましょう。この時期の灌水は1日おきでも大丈夫です。水のやり過ぎで、蘭は傷みません。あとは、蘭舎の風通しを良くして、室内温度が外気温よりも高くならないように工夫をしてください。
梅雨の影響で、晴れ間が少ないときは灌水の間隔をあけて様子を見てください。必ずしも7月だからと言って、たくさんの水をあげなければいけないということはありません。ご自身が管理する鉢の状況をよく見て、気温・天気などの条件と合わせて、灌水の間隔を調整してください。
7月ともなれば、梅雨が明け夏に突入します。晴れ間が続くようになったら、遮光をしっかり行ってください。光を取り過ぎると、葉を傷める原因になります。一度傷んだ葉は、もとには戻りませんので十分気を付けてください。山の中の様に薄暗くして大丈夫です。
殺菌や害虫駆除にも力をいれなければなりません。非常に重要です!!
私たちは殺虫には、スプラサイドとオルトランを使用しています。
スプラサイドを1,000倍に薄めて噴霧器を使用して、新芽を中心に散布します。害虫は、柔らかい新芽を傷つけます。害虫によって傷つけられた新芽に、菌が繁殖することがすっぽ抜けの原因ですので、この点はしっかり押さえてください。
殺虫をする際のワンポイントは、スプラサイドで殺虫した後1週間以内にオルトラン粒剤を撒くことです。スプラサイドで蘭舎内の虫を除去して、オルトラン粒剤を撒くことで蘭が内側から害虫を寄せ付けなくなります。
この時期は、潅水の間隔が短くなりますので、殺虫剤・殺菌剤は、潅水を行った次の日に散布してください。殺虫・殺菌を行った次の日に潅水をすぐにしてしまうと、水で洗い流すことになってしまい、その効果が薄れること防ぐためです。薬剤を散布する時には、風通しを良くしてしっかりと乾くように気を付けます。乾いていない状態のままは、薬害を起す可能性があります。
殺虫剤や殺菌剤を散布する際は、必ず肌の露出がないように注意して行ってください。
当店では、殺虫剤としてスプラサイドを使用していますが、この薬品は劇薬ですので散布する際には、十分な注意が必要です。肌の露出を可能な限り避け、マスクなどを直接 吸引しない様にしなければいけません。雨合羽、帽子、ビニール手袋を着用すると良いかもしれません。その他、有効な殺虫剤としてはオルトラン粒剤が有効です。
今の時期の防虫がとても大事です。虫に蘭の新芽がやられてしまっては跡が残って、キズや傷みになりますので、しっかり行いましょう。虫にやられて、後悔しないようにしっかり予防を行いましょう。
この時期からは、灌水は夕方以降に涼しくなってから。薬剤散布も同様です。
一日中雨が降る日は夕方でなくてもかまいません。注意点は、気温が高く日照がある時に灌水すると鉢が蒸れてしまいスッポ抜け(新芽が蒸れて枯れてすぽっと抜けてしまうこと)が起こる可能性が上がります。天気の変わりやすいこの時期の灌水は夕方から、それも涼しくなってから行うと失敗を防げます。蘭舎内に室温・湿度計を設置して、30℃以下であることを確認して、灌水・薬剤散布をすることをお勧めします。早朝の灌水は避けてください。涼しくても時間が経てば暑くなります。
7月は2~3日あけての潅水が基本ですが、天気が良く風があり乾燥が激しい場合は中1日置いての潅水の日も有りました。、当店では、過去のデータによると7月に入ってからはこの間隔であげていますが蘭をおく環境にもよりますのでご自分の鉢の乾き具合をみて灌水してください。
一番大事なことは、毎日蘭をよく観察してあげることです。
この時期に株分けなどはしない。
この時期に花芽が形成されるので株分けなどはしない様にして下さい。活力剤を与え蘭を活性化させてあげると良いでしょう。しかし、肥料は避けた方が良いでしょう。効きすぎて蘭に逆効果となる危険があります。根を傷めないように心がけましょう。